研究概要 |
この研究では、UDPーグルクロン酸転移酵素(UDPーGT)の分離精製に有効な新しいアフィニティ-担体ゲルの調製について検討を行なった。初年度は、6ーsuccinylmorphineをωーaminooctyl Sepharose 4Bに結合させた担体がUDPーGTイソ酵素の分離に優れた性能を示すことを明らかにした。その末端のmorphine部分は加水分解されやすく、解離してしまうことから、ωーaminooctyl Sepharose 4Bのsuccinic acid誘導体が高分離能を示す本体であると推定されたので、ωーcarboxylpropionylaminooctyl Sepharose 4Bを調製したところ、よい分離能を示すことが明らかになった。初年度には、この担体を使用し、そのあとにUDPーhexanolamine Sepharose 4Bゲルを用いて、ラットのmorphineに特異性の高い新しいUDPーGTを精製した。次年度、ラット肝ミクロソ-ムから4ーnitrophenolと4ーhydroxybiphenylに特異性の高いほぼ均一な標品が得られた。さらに、このゲルを用いてモルモットとビ-グル犬の肝ミクロソ-ムのUDPーGTを行なった。これまでモルモットやイヌのUDPーGTの精製の報告はなされていない。モルモットからはフェノ-ル類に高い活性を示すイソ酵素が得られた。そのモノマ-分子量は54,000であり、Nー末端アミノ酸配はラットのtestosterone UDPーGTおよびウサギのestrone UDPーGTの配列と同一であった。また、イヌからも2つのUDPーGT精製標品が得られた。分子量50,000のイソ酵素はmorphineに高い活性を示すことから、morphine UDPーGTと名付けた。もう1つの広い基質特異性を示す分子量52,000の酵素はUDPーGT_<dogー1>と名付けた。後者のNー末端アミノ酸配列はラットの4ーmethylumbelliferone UDPーGTと同一であった。以上のように本研究において開発した新しいアフィニティ-担体ゲルによって4つのUDPーGTの単離精製に成功した。
|