研究課題/領域番号 |
01571214
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山田 秀徳 九州大学, 薬学部, 助手 (80037613)
|
研究分担者 |
植田 正 九州大学, 薬学部, 助手 (90184928)
井本 泰治 九州大学, 薬学部, 教授 (90038282)
|
キーワード | ニワトリリゾチ-ム / 大腸菌 / フォルディング / SS-SH交換反応 / 変異リゾチ-ム / 巻戻し |
研究概要 |
大腸菌にジスルフィド結合を有する外来性蛋白質を生産させると、いわゆるインクル-ジョンボディ-となり不溶化する。大腸菌による外来蛋白質の生産系の有用性を高める目的で、大腸菌に生産させ、不溶化した変異ニワトリリゾチ-ムを活性構造に巻戻すことを以下検討した。1カチオン性の酸化還元試薬、Me_3N^+(CH_2)_3SH及び[Me_3N^+(CH_2)_3S]_2の合成に成功した。還元リゾチ-ムのSH基をこの試薬との混合ジスルフィドとして可逆的に保護するとその溶解度が極めてよくなり、大腸菌に生産させた変異リゾチ-ムの抽出、精製が容易になった。2、大腸菌に生産させたリゾチ-ムのSS-SH交換反応による巻戻しを上記カチオン性試薬の酸化還元系、電荷を持たないメルカプトエタノ-ルの系、及びアニオン性のグルタチオンの系で行った結果、どの系も同程度に有効であったので、以下グルタチオンの系を用いて巻戻しの最適化を行った。3.変異リゾチ-ムの巻戻り率に及ぼす変性剤である尿素及び巻戻し温度の影響を検討した結果、1M尿素存在下、4℃という条件が最適であることがわかった。以前の条件(尿素非存在下、38℃)では巻戻らなかったAla31→Va1の変異を持つリゾチ-ムも、この条件では約20%の収率で巻戻すことができた。4.3で設定した条件で変異リゾチ-ムを巻戻した後、巻戻ったリゾチ-ムの単離を直接試みたところ、たちまち不溶化することがわかった。この原因は、不完全なジスルフィド結合を持つ中間体の生成にあると考え、ジスルフィド結合の生成を完結させるために、反応液を4℃で2日間透析した後で単離を試みたところ、10〜30%の収率で巻戻った変異リゾチ-ムを単離することができた。5.N末端にMetのみが付加したリゾチ-ムとMetTyrが付加したリゾチ-ムの巻戻りを比較した結果、N末端に余分に付加しているアミノ酸残基は巻戻り率の低下を招くと推論された。
|