研究概要 |
本年度はプロリルエンドペプチダ-ゼの構造を調べるため,その遺伝子構造を明らかにすることを計画した。牛脳およびFlavobacteriumの酵素を精製し,その内Flarobacteriumの酵素標品についてまずエンドペプチダ-ゼAsnーNで水解し,HPLCでペプチド断片を得た。その中20断片についてアミノ酸配列決定を行った。 この配列をもとに比較的コドン使用の少ない部分を選びDNAを合成し、これをプロ-ブとした。一方,Flavobacterium染色体を用いバンクを作り,このバンクからコロニ-ハイブリダイゼ-ションで5個のポジティブなクロ-ンを得た。いずれの菌からも3.6Kbpの挿入断片を持つプラスミドが得られたので、その1つを選びpFPH1と名づけた。この制限酵素地図を作製し、この制限酵素部位を利用し断片化したり、両端からデリ-ションをおこない種々のプラスミドを作成した。これらにより形質転換した大腸菌についてプロリルエンドペプチダ-ゼ活性を比較した結果、約2.5Kdpの挿入断片を持つプラスミドpFPH5KD7によって10倍の酵素活性の上昇がみられた。このプラスミドを用い、酵素遺伝子の全塩基配列の決定をおこなった。 配列から推定されるアミノ酸配列から求めた分子量は76,200で天然の酵素についてSDSーPAGEや超遠心分離法で得た値とよく合う。本酵素はセリン酵素であるが、一般にセリン酵素の活性セリン残基周辺の共通配列としてGlyーXーSerーXーGlyが知られている。アミノ酸配列中556から560番目に類似配列がみられ、活性セリン残基と推定される。現在,酵素を[ ^3H]DFPで化学修飾後,蛋白質のアミノ酸配列からの位置の確認をおこなっている。牛脳酵素については現在アミノ酸配列の検討中である。
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