研究課題/領域番号 |
01571219
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
船越 崇行 熊本大学, 薬学部, 助手 (90150549)
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研究分担者 |
庄司 省三 熊本大学, 薬学部, 助教授 (60040317)
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キーワード | 血液凝固 / 抗血液凝固蛋白質 / Ca^<2+>依存性膜結合蛋白質 / リン脂質結合蛋白質 / リポコルチン族蛋白質 / 機能部位 |
研究概要 |
1.ヒト胎盤由来抗凝固蛋白質(PAP)の精製:PAPの精製はヒト胎盤ホモジネ-ト可溶性画分から硫安分画、DEAE-Sepharose吸着、Sephadex G-75及びMonoSカラム(HPLC)を用いて行い、SDS-PAGEで均質なバンドを示す程度に精製して以下の実験に使用した。 2.PAP分子中のCa^<2+>及びリン脂質結合部位の決定:PAPをトリプシンで酵素消化したのち、μ-Bondasphereカラムを用いたHPLC(waters社)で分離し、得られた個々のピ-ク(ペプチド)について抗凝固作用を測定し、抗凝固作用を持つピ-ク(ペプチド)を同定した。この機能ペプチドのアミノ酸配列分析を行うことによってPAP分子中のCa^<2+>及びリン脂質結合部位を推定した。更に、PAPのアミノ酸残基を光酸化あるいは各種化学修飾剤で修飾し、その生理作用との相関を検討した。その結果、本蛋白質を光酸化すると分子中のHis残基が破壊されるとともに抗凝固活性の著明な低下が認められ、また、リン脂質に対する結合能力も消失することが判明した。このことから、本蛋白質中のHis残基がPAPの機能即ち抗凝固作用及びリン脂質結合能に強く関与していることが推察された。 3.His残基を含むPAPの機能部位ペプチドであるSer-His-Leu-Arg-Lys-Valは抗凝固作用を示したが、His残基をAla残基にかえたSer-Ala-Leu-Arg-Lys-Valは活性を示さなかった。このことからPAP分子中の、このHis残基(His-204)はPAPの生理作用に必須であることが示唆された。 4.PAP抗体の調整:PAP抗体はPAPを家兎へ注射して免疫させ、約40日後採血し、血漿を硫安分画、DEAE-Sepharose、PAP-Sepharose Affinity Columnを用い、SDS-PAGEで単一バンドを示す程度に精製した。
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