Peroxisome(Px)膜蛋白質の構造と能能並びにPx形成における役割を明らかにするため、Px膜蛋白質に対する各種抗体を調製するとともにcDNAのクロ-ニングを行ない、以下に示す新しい知見を得た。 1.ラット肝Px膜に対する各種モノクロ-ナル抗体を調製した。このうち、抗体(PXMla/207B)を用い、Px膜上に57kDa蛋白質を新たに見出した。さらに本蛋白質が、Px増殖に伴い顕著に誘導されることを明らかにした。 2.22kDa Px膜主要蛋白質については、精製標品をウサギに免疫し、抗体を調製するとともに、部分アミノ酸配列を決定した。現在、本抗体及び部分アミノ酸配列に対するoligonucleotideを用い、本膜蛋白質cDNAクロ-ニングを試みている。 3.Px形成に関しては、膜蛋白質の生合成過程を、ラット肝培養細胞を[^<35>S]Methionineでラベルし、Px膜蛋白質に対する抗体を用い免疫沈降で解析する系を確立した。現在パルスラベルを行ない、膜蛋白質のPxへの輸送過程を解析している。 4.ラット肝cDNAライブラリ-をPx膜に対する抗体でスクリ-ニングした結果、新たに、37kDaの未知の蛋白質及びleucine aminopeptidaseやF_1F_0ーATPaseのsubunit dと相同性が高い蛋白質をコ-ドするクロ-ンを新たに得、その塩基配列を決定した。さらにこれら蛋白質対する抗体を調製し、Pxでの存在状態について検討している。 これらの知見をもとに、次年度は培養細胞系を用い、Px膜の形成過程をより明らかにする。さらにcDNAの塩基配列解析等の解析をもとに、膜蛋白質の構造と機能の理解を深めるとともに、Px膜蛋白質の新たな機能を見出したい。
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