研究課題/領域番号 |
01571230
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
塩見 浩人 福山大学, 薬学部, 教授 (60025715)
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研究分担者 |
井上 和恵 福山大学, 薬学部, 助手 (30193577)
中村 明弘 福山大学, 薬学部, 助手 (70172393)
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キーワード | キョ-トルフィン / モノクロナ-ル抗体 / 免疫組織化学 / 神経ペプチド / 鎮痛作用 |
研究概要 |
本研究において、キヨ-トルフィン(KTP)が神経伝達物質であることを証明するのに必要なKTP含有神経存在の有無を免疫組織化学的に検討した。1)KTP抗体の作製:KTPに対するポリクロナ-ル抗体の作製に成功した。コノ抗体の抗体価は1:13200(最終希釈率)で、ネオ・キヨ-トルフィン(Neo-KTP)に若干高い交叉応性(32.5%)を持っていたが他の類似ペプチドとの交叉応性は極めて低く、特異性の高いものであった。2)ラット脳を用いた免疫組織化学:免疫組織化学は直接蛍光方と間接蛍光方とによって検討した。免疫陽性細胞は延髄大縫線各、視床下部弓状各、尾状核被殻、梨状葉前皮質、傍巨大細胞網様核、台形体核に認められた。又、これらの免疫陽性細胞は、ニッスル染色によっても染色された。以上の結果は、中枢神経系においてKTP含有神経の存在を強く示唆するものである。しかしながら、本抗体はNeo-KTPに対しても反応性を持つため、Neo-KTPを認識している可能性も残っている。この点を解決するため、特異性のより高いモノクロナ-ル抗体の作製とその抗体を用いた免疫組織化学を計画した。3)抗KTP.モノクロナ-ル抗体による免疫組織化学:モノクロナ-ル抗体は免疫動物にBalb/Cマウスを用いた。常方に従い1gGクラスの抗体を産生するハイブリド-マを選びクロ-ニングし、マウス腹腔内に移植、腹水より得たlgG画分を精製した。本抗体を用いた免疫蛍光組織化学での検索に於いても、ポリクロナ-ル抗体を用いた時と同様の結果を得た。考察・結論:本研究において、特異性の高いKTP抗体を作製することに成功した。さらに、この抗体を用いて中枢神経系に於いてKTP含有神経の存在を組織化学的に初めて証明した。KTP含有神経の存在部位は、生理的疼痛制御機構を形成する脳部位に局在しており、KTPが中枢神経系の神経ペプチドとして、疼痛制御に深く関与していることを組織化学的に明らかにした。
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