研究概要 |
インタ-ロイキン1(ILー1)はマウス骨髄性白血病細胞(M1)の増殖を抑制し、他のサイトカインと相乗的に働きM1細胞をマクロファ-ジへと分化させる活性を持つ。昨年までの研究では、ILー1の情報伝達系にはCa^<2+>やCキナ-ゼは関与しないこと、ILー1とcAMPは同様な活性を示すこと、しかしILー1で処理しても細胞内cAMPは上昇しないことが明らかになった。本年度は、ILー1により細胞内cAMPが上昇すると報告されているマウスプレB細胞株70z/3とヒトNK細胞株YT,ヒト線維芽細胞株TIGー1を用いILー1とcAMPとの関係につき検討した。その結果、以下のことが明らかとなった。 1.70z/3はILー1で刺激すると成熟B細胞となり、細胞表面にIgMを発現する。そこでヒトILー1αに対する反応性を調べたところ15〜20%の細胞がIgMを発現するようになった。しかし、ILー1処理で細胞内cAMPに全く変化はみられなかった。 2.YTを同様にILー1で処理し細胞内cAMPを調べてみたが、全く変化はみられなかった。 3.TIGー1細胞をILー1を処理したところ、約2時間後から細胞内cAMPは上昇し始め12時間後まで上昇がみられた。同時に、ILー1処理によりプロスタグランジンE_2(PGE_2)産生も高まり、細胞外PGE_2量はcAMPと同じ様なタイムコ-スを示した。cAMPに上昇もPGE_2産生もサイクロオキシゲナ-ゼ阻害剤インドメサチンで完全に抑制された。 以上の結果、ILー1はM1に対しcAMPを上昇させることはなくcAMPと同様の情報を細胞に与えていることが明らかになった。又、ILー1でcAMPが上昇すると報告されている70z/3、YTをILー1で処理してもcAMPの上昇はみられなかった。線維芽細胞に対しILー1はcAMPを上昇させるが、それはPGE_2産生を介していることが明らかになった。
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