研究概要 |
平成3年度は、1)高脂血症治療剤の薬効評価と2)脳血管障害改善剤の安全性評価に関する研究を行った。 高知医科大学の総合医療デ-タベ-スには、高脂血症治療剤として8種類の薬歴と総コレステロ-ル(TC),HDLーコレステロ-ル(HDL),中性脂肪の検査歴が約10年間保存されている。デ-タベ-スを用いての解析結果は次の通りである。 1)TCについては総じてその薬も薬効があり初期値(280)に対して約20%下げる。 2)HDLについては、全体の平均値でみると、8種類のうちプロブコ-ルが有意の差でHDL値を下げることが定量的に実証された。しかし、これは、総平均値での結論であって、より詳細に分析してみると、ぞの薬ともHDLが50前後より高いときにはに下がり、それより低い場合にはむしろ上がるという、HDLの初期値(投薬前値)と、差(投薬前後の)の間に非常にきれいな相関がある。殆んどの薬がHDLの初期値が50〜55あたりで投薬前後差が0になり、初期値が80位でHDL値を下げる場合と30位でHDL値を上げる場合とが、全体でみるとキャンセルしている。しかしプロブコ-ルだけは42と低いとことで0になるため、それより低いところではHDL値を上げるが、全体でみるとHDL値を下げる結果になっている。 3)動脈硬化指数((TCーHDL)/(HDL))は、HDL値が高い場合にはTC値がいくら高くても投薬によって、かえって下がってしまう結果になる。 脳血管障害剤の安全性評価の結果、1)アバン,2)カラン,3)ヒデルギン,の各投与群で、薬剤投与が原因と示唆される検査値異常項目が抽出され、これらの中には薬剤添付文書に記載されていないものもあり注目される。
|