筋緊張性ジストロフィ-症(以下DM)は、第19染色体長腕の19q13.2に存在することを既に証明したが、本年度は、DM座位付近の遺伝子断片を単離し連鎖地図と物理的地図による遺伝子地図作製を行った。DM遺伝子がCG islandにあると考え、ヒト第19染色体のNotIリンキングライブラリ-を作成した。そして、5個のクロ-ンについて、雑種細胞を用いて染色体上の座位を決定(2クロ-ンは短腕、3クロ-ンは長腕)すると共に、連鎖地図作成のためにRFLPsの検討をした。3個のクロ-ンについてはRFLPsを見い出した。具体的には、pKNB46はBgIIIとNcoI、pKNN3はNcoI、pKNE95はBgIIIの多型を示した。DMに最も隣接するERCC2について、非RIのビオチン標識を行い、in situハイブリダイゼ-ションを行った。FITCーアビジンのシグナルを共焦点レ-ザ-走査蛍光顕微鏡で31個の染色体を観察した結果、ERCC2は第19染色体の長腕末端から短腕末端までの距離の76%の位置に存在していた。アルゴンレ-ザ-を用いて第19染色体長腕の動原体より末端側の50ー80%の領域を残して、残りの第19染色体を焼き切った。残った遺伝子断片を回収し、Alu配列の中でヒトだけに保存されているTCー65をプライマ-としてPCRを用いて増幅した。PCR産物が第19染色体由来であることは、in situハイブリダイゼショ-ンで確かめられた。今後、これらのクロ-ンをプロ-ブとしてcDNAライブラリ-などをスクリ-ニングし、DM座位付近の遺伝子断片を多く単離する予定である。
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