本年度は、基本的骨格が概略完成した電子保護システムを基礎に、電話回線とポケットベルを組み合わせて、連絡網の機能を確立することを目標にした研究を行った。 まず、前年度に開発した個別の保護システムにパ-ソナルコンピュ-タ-とモデムを接続した。この状態で、電話回線に接続する条件を設定し、繰り返し実験を行いパ-ソナルコンピュ-タ-やモデム等の動作確認のシュミレ-ションを行った。また実際にモデムを通して電話回線に接続し同様の動作を確認した。同時に市販の多機能のポケットベルを施設外で携帯し、実際にバイタルサインをモニタ-したり、老人の外出の際の救護がどのように行い得るかを詳細に検討した。なお、夜間には施設内で介護者用に同上のポケットベルを備え、同様のことを行ってその有用性を確かめた。つぎに、施設側のパ-ソナルコンピュ-タ電話回線を通じて送られてくる施設の状況や、患者の状況が確実に中央の監視所で受信できるように、監視システムをパ-ソナルコンピュ-タ-を中心として構成し、それを有効に稼働させるためのソフトウエアを開発して、実際にデ-タ収集を行った。また、受信デ-タを老人の行動やシステムの分析に役立てるための処理プログラムを開発した。 なお、老人の行動および健康状態の追跡のための装置と発信装置と一体化した携帯用送信機を改良し、一層小型、軽量化し、耐久性、耐震性を高めた。その他、送信機を経て老人から得られる情報を受信する装置の改良を行った。また、老人の外出を知らせるランプやチャイムによる警報器の光量や音量が、十分確保できるシステムに改良した。
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