ホルモン受容機構異常症スクリ-ニングに向けて、われわれは従来繁雑な測定法であり、研究室レベルのものであったGTP結合蛋白(Cs)活性測定法を、簡易化する工夫を行った。すなわち以前はマウスリンパ腫の培養細胞株でGsの欠損したcyc-S49株の細胞膜を用いていたが、今回これに代わって人血小板膜分画を用いる測定系を新しく開発した。この測定法は、1.測定サンプルの膜分画をコ-ル酸で可溶化し、2.GTP-γ-Sと30℃2時間処理し、Gsの活性化を行う。3.これを血小板膜分画に加え、0℃20分間置き再構成を行う。4.これをadenylate cyclase活性測定系に加え、30分10分間置き生成したcAMPをRIAにて測定するものであり、従来法に比べ簡便であり、精度、感度、直線性も良好であった。この簡便法を用いて偽性副甲状腺機能低下症I例の患者について検討を加え、Gs活性値の低下と病態との関連についても新しい知見を得た。 またGsをCordina Jらの方法に従い、赤血球膜より大量分離精製を試み、純度の高いGs分画を得ることができた。今後、この精製Gs分画を用い、GsのRIA法を確立するなどの発展が望めた。 上記の研究成果は、第62回日本内分泌学会総会(6月1日)、第36回日本臨床病理学会総会(10月6日)、第7回生物学と医学における情報伝達国際会議(10月9日)、第62回日本内分泌学会秋季学術大会(10月21日)において発表した。
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