研究概要 |
ホルモン受容機構異常症のスクリ-ニングに向けて,われわれは従来煩雑な操法であり,研究室レベルのものであったGTP結合蛋白質(Gs)の活性測定を簡便なものとして,偽性副甲状腺機能低下症I型の患者について検討を行いGs活性値の低下と病態との関連で新たな知見を得た(平成元年度)。本測定法は測定サンプル膜分画をコ-ル酸で可溶化し,GTPγSと30℃で2時間incubationを行い,Gsを活性化する。これを人血小板膜分画に加え,0℃で20分再構成を行う,これをadenylate cyclase活性測定系に加え,30℃で10分間incubationを行い生成したcAMPをRIAにて測定するものである。本年度はこの方法に検体少量化,測定時間の短縮化などの改良を加え,スクリ-ニング法として十分使用可能とした。 本測定系を用いて各種疾患についてスクリ-ニングを行ったところ,アルコ-ル中毒患者においてアデニルシクラ-ゼ活性の低下が見られた。詳細を培養細胞におけるアルコ-ル投与実験により検討した結果,急性期におけるアデニルシクラ-ゼ活性の上昇と慢性期におけるアデニルシクラ-ゼの活性低下が証明できた。また本測定法により,従来有効な鑑別法の無かったアルコ-ル中毒患者の鑑別診断が行えることがわかった。 今後さらに本測定法を用いて,各種疾患のスクリ-ニングや病態解明への応用を行う予定である。
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