研究概要 |
ホルモン受容機構異常症のスクリ-ニングに向けて,われわれは従来煩雑な操作法であり,研究室レベルのものであったGTP結合蛋白質(Gs)の活性測定を簡便なものとし,偽性副甲状腺機能低下症I型の患者について検討を行いGs活性値の低下と病態との関連で新たな知見を得た(平成元年度)。このGs活性測定法に,検体少量化,測定時間の短縮化などの改良を加え,スクリ-ニング法として充分使用可能とした。このスクリ-ニング法を用いて各種疾患についてスクリ-ニングを行ったところアルコ-ル中毒患者においてGs活性の低下がみられた(平成二年度)。本年度もこのスクリ-ニング法を用いて,ホルモン受容機構異常症スクリ-ニングを行った。さらに偽性副甲状腺機能低下症でGsの低下している患者のGsのmRNAを測定したところ,Gs mRNAの低下しているものとしていないものがみられた。すなわち,Gs活性の低下は,Gs遺伝子,mRNA,タンパクなどのさまざまな段階での異常によりもたらされる可能性が考えられた。つまりはGs活性とmRNAの双方を測定することにより,病気の本態の解明ができると考えられた。 上記の研究成果は,第64回日本内分泌学会総会(6月13日),第31回日本臨床化学会年会(9月28日),第5回アジア太平洋臨床生化学会(9月30日),第64回日本内分泌学会秋季学術大会(11年14日)において発表した。
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