研究概要 |
〔目的〕生物試料中の9種のpolyamineのHPLCによる一斉分析について、臨床応用に便利(simple,sensitive,precise,spesific)な方法の開発について一定の成果が得られたので、臨床応用の一つとして、尿試料の分析に着手した。 〔方法〕1.分析システムの構成:送液pump、分離用column、酵素reactor、電気化学検出器、各1を直列に繋いだ。2.分離部:octadecyl polymer系分離columnを使用したreversed phase ion pair分離法で、中性溶離液によるisocratic溶出が可能である。3.検出部:固定化酵素reactor(acylpolyamine amidohydrolaseによる水解、polyamine oxidase,putrescine oxidaseによる酸化)および、過酸化水素に応答のよい電気化学検出器を使用。 〔結果〕1.retention time:最後に溶出されるacetylspermineが約60分、N1ーacetylspermdineとN8-acetylspermineのpeakが接近し、N8のpeakが小さい。内部標準として1,6-diaminohexaneを使用。2.尿検体をmuromac RCA-1で前処理し、20μl injectして、十分な感度で良好なchromatogramを得た。しかし、回収率を調べたところ、acetylputrescine,acetylcadaverineの回収率が20-30%、他の7種の回収率は90-100%であった。 〔考察〕尿試料測定のための前処理方法の再検討が必要であり、樹脂の選択、pHの選択、脱塩方法の検討に着手している。また、化学発光による検出は、電気化学検出よりも過酸化水素に特異的であるが、感度がやや劣ることから、化学発光試薬および反応条件を再検討して応用を試みることも必要かもしれない。
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