臨床検査のデ-タは疾病の診断、治療の監視、予後の推定などに利用されている。しかし、その利用については経験的な原理に基づいているのが大部分である。本研究は、蓄積されている検査デ-タの資源を日常臨床の場での検査計画および診療の支援に再活用することを目的とした。すなわち、医師の経験および主観にたよった検査計画をより客観的なものとし、確実な病態の把握を可能とする支援システムを作り上げることを目的とした。このために以下の3つの観点より取り組みがなされ、研究が遂行された。 1)検査デ-タの信頼性の保証であり、病態解析の基本となるための客観的な医療情報を如何に提供するかである。このような観点から、検査計画立案の時点から含めて、検査情報の管理を次の3点で解析した。それは、検査依頼とその管理、個別患者デ-タの管理、病態別患者デ-タの管理などであり、これらの充実を如何に図るかということであり、具体的な方法が示された。 2)オンラインデ-タ検索機能の充実は診断・検査計画支援システムの一端である。それらは検査システムとの関連で充実された。とくに、付加再検機能を持った分析システムは、診断支援に於いても独自の役割を示した。また、これに付随し、検査結果の判定支援・コメントの付加端末での結果照会画面から、依頼画面への即時変換も開発され実用化の試みがなされた。 3)病態の類型化などに対しては十分な成果は挙げられなかったが、採用すべき方法についての見通しが立てられた。 この研究の発展は、さらに拡大された共同開発が必要であることが明かとなった。
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