研究概要 |
1.IDEの分離精製法 今年度は、分離精製過程におけるIDE活性の保持条件を検討課題として取り組んできた。前年度クロマトフォ-カシングを用いた4行程分離を検討したが、新たなIDEの不安定要因を見い出す結果となった。IDEはクロマトフォ-カシングにより等電点付近(pH4.8〜4.9)で溶出されるが、酸性条件下において限定分解を受け、SDSーPAGE上メインバンドの他の2本のマイナ-バンド(56K,37K)が出現した。このため最終段階の精製過程としてヒドロキシアパタイトカラムによる緩和な条件下での分離法に変更し、当初の目的を達することが可能となった。 2.IDEの生化学的性質 得られたIDEは、PAGEによる分子量107K、等電点約5.0であった。IDE活性の至適pHは、HEPES緩衝液、リン酸緩衝液のいづれにおいてもpH7.2前後で最大活性を示した。またこれより酸性側の条件下では、急速に活性低下が認れられた。さらに本酵素は、EDTAによる活性阻害を受けることより、2価の金属塩類に対する反応性を検討したところ、Ca,Mg塩1mM程度では活性化が認められるものの、それ以上の濃度では逆に活性阻害を受けた。特にZn塩に対しては強い活性阻害が認められ1mMで50%,5mMでは95%以上の活性阻害を受けることが明らかになった。 3.IDE活性の至適条件 以上の結果よりIDE活性の至適条件は、赤血球内の環境と類似したpH7.2,0.5mMCa塩濃度であった。
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