研究概要 |
昨年度までに、「ほぼ一様」な密度・磁場分布をもつ磁化プラズマについて、巨視的スケ-ルでの微視的(運動論的)シミュレ-ションが行える、マクロスケ-ル粒子コ-ドが開発・完成された。 今年度は、密度・磁場の「非一様性」を有する核融合プラズマでの巨視的且つ運動論的な非線形現象を取り扱うことを目指して計算機コ-ドの改良を行った。すなわち、次の3条件:1)Δt》ω_<co>^<ー1>〜ω_<po>^<ー1>),2)強い密度・磁場の非一様性が扱えること,3)ト-ラス形状,非円形トロイダル断面など,自由な形状を扱えること,のなかで,すでに満たされている1)の他に2)をクリアして、更に3)への将来の拡張性を持つように改良を行った。すなわち、電磁場の方程式を解くために、今まで採用していたフ-リエ展開を全方向には用いず、非一様性の存在する方向に関して物理量の局在性がよく表現できる実空間での解法を導入した。このとき、超多変数(3次元では少なくとも数千個以上)で係数がプラズマ形状に応じた空間依存性を持つ「電磁場・粒子結合方程式」をシミュレ-ションの時間ステップ回数だけ解く必要がある。今年度の研究では、この結合方程式が、逐次代入法を用いて比較的速く収束することが見出された。 非一様系への基礎的応用として、5年前に調べたキンク不安定性について、今回開発した3次元デカルト座標系での完全インプリシット版マクロスケ-ル粒子コ-ドを用いて、再度電流のキンク不安定性のシミュレ-ションを行った。その結果、予想通りm/n=1/1のキンク不安定性が生じ、壁にぶつかることなく飽和することが確認された。
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