研究概要 |
1.格関係子,事象間関係子,意味関係子,制限関係子,仮関係子からなる概念間の関係子と意味ネットワ-ク表現を用いて概念辞書を作成した。この辞書は,シソ-ラスによる概念の分類によって構造化されており,概念辞書中の各概念の見出しとして日本語の語彙が対応づけられている。また,個々の概念はオブジェクト指向の概念によって表現されているため,上位/下位の概念間のデ-タの継承と概念毎の手続き指定ができ,効率的な表現が可能となっている。 2.前述の概念辞書を利用する日本語解析システムを開発し,画像処理システム上に日本語インタ-フェ-スとして作成した。その結果として,知識表現の容易さと対話性の向上が計られた。この日本語インタ-フェ-スは形態素解析部,構文解析部,そして意味解析部からなり,それぞれ以下のような特徴を持つ。 ・形態素解析部では,形態素間の接続可能性を接続マトリックスとして表し,さらにCKY表と組み合わせることによって高速化を計っている。 ・構文解析部では到達可能性を考慮した上昇型チャ-ト表を用いることによって無駄な処理を省き,全ての候補に対する句構造木を生成する。 ・意味解析部では,構文解析によって得られた句構造木に対して概念辞書を利用した概念間の関係解析を行い、その結果を画像処理部へ渡す。 3.言語情報を画像化するために,オブジェクトの形状辞書の作成を行った。その目的としては,画像処理によって得られる情報や,入力された日本語文の解析から得られる言語情報を画像として表現することである。本研究では,対象世界を“ある部屋の情景"に限定し,入力された日本語文と部屋内部に存在可能なオブジェクトの形状モデルを基に画像を生成するシステムを作成し,その実験を行った。
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