本研究では現状のコンピュ-タシステムにとって必要不可欠となっているグラフィックインタフェ-スの高度化を、図形および表現対称の構造の明確化を基本として、システマティックな方法で実現することを目的としている。全体は2年計画であり、第1年度である今年度は以下のような項目について研究を行った。 (1)図形とその配置方式の構造に関する研究・・・・まず関連する先行研究の調査を行ったが、極めて機能の低いシステムについてしか研究が行われていないことが判明した。そしてその内容について詳細に検討した結果、配置に関する基本的な方式の明確化が、今後の研究にとって必要不可欠であることが確認された。 (2)配置基本要素の抽出とその実現・・・・前項の結果をもとにして、配置の基本要素のひとつとして、『並べる』という操作に着目し、その指定方法とシステムとしての実現の両面にわたる研究を行った。具体的には、『並べる』操作を、要素図形群のある経路(パス)への拘束として定式化した。 (3)パス拘束方式の確立・・・・パス拘束の指定方法として、何が本質的に重要かを考え、これを図形自体の指定と拘束方法の指定とに分離することに成功した。この分離は、実際に実現可能なキのであり、プロトタイプシステムとして稼動している。本年度の研究では、基本要素として『並べる』を取り上げたが、実際に(人間によって)生成される図の中では、この他にも『結ぶ』、『囲む』、『含む』といった他の要素が存在する。第2年度ではこれらについても形式化を行い、実現可能性を実証したうえで、最後に全体を統合したスキ-ムとして完成させる計画である。
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