研究概要 |
1.重み最小生成木Tが構成されているネットワ-クNで,リンク追加と削除が生じたとき,トポロジ-変化後のネットワ-クN'の重み最小生成木T'を再構成する,通信計算量O(n log(f+t)+e)で理想時間計算量O(n log(f+t)+n)の分散アルゴリズムを示した.ここで,nとeはそれぞれN'のプロセッサ数とリンク数で,tは追加リンク数,fは削除リンク数である. 2.完全ネットワ-クにおいて一つの有効ハミルトン閉路Hを考え,各プロセッサが自分に接続するリンクをH上の距離で識別できるとき,この完全ネットワ-クには方向感覚があるという.高々f_p個(f_p〈n/2)のプロセッサが故障のために停止している方向感覚付き完全ネットワ-クにおいて,リ-ダ選択問題を通信計算量O(n+k・f_p)で解く分散アルゴリズムを示した.ここで,kは始動プロセッサ数である.この通信計算量はオ-ダ-的に最適である. 3.いままでの分散アルゴリズムの対象領域を「分散協調問題」と呼ばれる領域まで拡張しようとしている.分散協調問題解決分野は,統一された基礎理論から出発した研究分野ではなく,典型的な応用問題を取り上げて,モデル化し,実験する中から新たな理論を導く方向で研究が進めらてきた.分散協調問題解決の分野の各種側面を分散アルゴリズムの立場から整理し,自然語によりあいまいに議論されている内容を形式的に厳密に議論するための計算モデルを整理し,体系的な基礎理論を作ろうとしている.現在,航空機管制問題や回線設定問題などを題材として,対象としている問題自身の定式化を行なった.
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