研究概要 |
並行処理ソフトウェアの評価フェ-ズを効果的に進めるために,診断型エキスパ-トシステムに基づくツ-ル群を導入し,並行処理ソフトウェアの機能と性能それぞれに重大な影響を与えるデッドロックとボトルネックについて,それらが起きる箇所と要因を診断しその改善プランを提示する方法を研究した.さらに,デッドロックに対する,エキスパ-トシステムによるヒュ-リスティクな診断法と,アルゴリズムによる解析的な方法の間の相補的な役割,および,ボトルネックに対する,定性的な診断法と定量的な診断法の間の相補的な役割についても研究した.以上の研究を前年度に試作したエキスパ-トシステムを使用して進めた. エキスパ-トシステムには,並行処理ソフトウェアを待ち行列ネットワ-クにモデル化し,定性推論に基づいてボトルネックのパラメ-タチュ-ニングを行うエキスパ-トシステムと,並行処理ソフトウェアをペトリネットにモデル化し,線形整数計画法に基づいてデッドロックを検出しデッドロックへの発火系列を求めるエキスパ-トシステムがある.これらのエキスパ-トシステムは,今年度の使用の中で,マンマシンインタフェ-スが改良され可用性が高まった. これらのエキスパ-トシステムの導入により,振舞いの単純な視認だけでは不十分な並行処理ソフトウェアプロトタイピングにおいて,プロトタイプの構築・稼動・評価という3フェ-ズから成るサイクルをできる限り迅速に繰り返して回る方法が確立できた.
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