当初計画した方法に従って研究を遂行した。平成2年度は前年度に達成できなかった事柄を次の方法により計画し、研究を行った。 1.漢字仮名混じり文を形態素解析、構文解析、意味解析といった自然言語処理を行った。これにはプログラミング言語としてLISP言語を用い、パソコン上に実現することを試みた。今まで利用してきたLISPシステムは処理速度が遅かったので、もっと高水準で処理速度の速いものに換えてシステムの再構築を行った。 2.仮名点字に点訳するための大規模の点字機械辞書を作成した。大容量デ-タを記録するため光磁気ディスク装置を購入し、単語を登録したが、語数は約3万語であり、目標の80%は達成できた。 3.日本点字表記法の規則を計算機に組込んだ。このシステムを使い易くするため、C言語を用いてパソコン上に再構築した。 4.自然言語処理を点訳規則と融合して、仮名文を生成し、点訳を行った。これを実現させるのに必要な機能は点字機械辞書にもたせた。実際に漢字仮名混じり文を仮名点字に変換したところ、90%以上の精度で点訳できた。さらに精度を上げるためには、点字機械辞書を充実させることが必要と思われる。 5.漢字仮名混じり文を仮名文に変換し、音声出力装置を用いて文章の読上げを試みた。実際に文字放送の文字情報を抽出し、その読上げを可能にした。またパソコンと音声出力装置を用いて、点字図書館の視覚障害者職員のために点字図書館業務システムを開発した。このシステムは実際に点字図書館で利用されている。
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