形態分析の対象としうる、比較的保存状態のよい古墳(前方後円墳)を選定するため、本年度はまず大阪府内を中心にデ-タの整理と点検を行った。その結果、一部崩壊のみられる古墳も含めて、必要な墳丘部位の大きさを計測(推定)可能な古墳がおよそ20基程度確保できる見通しが得られた。 本研究の基盤となるこれらの古墳を含め、デ-タの整理・点検が完了した大阪府内の古墳189基をコンピュ-タ(VP30E)に再入力しデ-タベ-スの信頼性を高めた。 一方、関東地区、名古屋地区、京阪神地区、岡山地区などの古墳のうち主要なものについて現状を視察し、実測図(等高線図)と実際の墳丘形状との対応関係を遂次確認した。 主成分分析法を導入して、古墳の7部位の計測値を2つの主成分に簡約化するための試験的な計算を反復し、その可能性と有効性を確認した。さらに、主成分計算式の最終的な確定を仮定した上で、古墳形状の復元をめざすエキスパ-トシステムの構成法について検討し、その基本方針を固めた。 また、3次元コンピュ-タグラフィックスによる映像化技法に関する調査研究および予備的な実験を行い、古墳の形状記述法等を含む基本的な方法論を確立した。ただし、主として計算の高速化に関する問題が未解決であり、文献調査・関係機関の視察・基礎実験を継続中である。
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