研究概要 |
1.先ず第一段階として、わが国の実験小動物コロニ-特にマウス・ラットを対象としてマウス肺炎ウイルス(PVM)の感染状態を把握するため、蛍光抗体間接法を応用した血清疫学的調査研究を行った。その結果、コンベンショナルのラットコロニ-(生産業者)及び大学や研究施設のラットにおいて強抗体陽性動物を検出することができた。一方、本来の自然宿主であるマウスからは現在のところ全く抗体陽性個体を認めることが出来ていない。これらの事実は欧米同様わが国の実験小動物コロニ-、とくにラットにおいてPVM感染が現在でも依然として存在することを示唆し、本研究の重要性を裏付けた。 2.PVMのウイルス分離の試みは、感染の存在が確定されているコロニ-由来のラットから続けているが、現在までのところ成功していない。しかしながら、検体採取の詳細な吟味、使用細胞の再検討等、さらに実験を重ねてウイルス分離を行うべく努力を続ける予定である。 3.ウイルスをin vitroで培養し、その性状の検索ならびに細胞変性効果(CPE)発現の期待は、現在強力に押し進めている。今までのところVero,BS-C-1,MA104,BHK-21細胞にて順化を繰り返した結果、BHK-21細胞にてCPEが強く発現するようになってきており今後の進展が期待される。
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