研究概要 |
蛍光眼底検査において、rdy遺伝子ホモを有する個体(pinkeyeーrdy.blackeyeーrdy)には網膜毛細血管の狭細が高頻度に観察でき、かつ交又は認められない。同じく眼底検査においてblackeyeーrdyの個体では、さらに色素漏出及び狭細が観察できた。組織学的所見としては、20週齢におけるrdyホモ個体は外顆粒層及び杆状体錐体層消失が認められた。pinkeyeーrdyにおける白内障の発症頻度は、23%のHellen,H.Hessらの報告があるが、我々のpinkeyeーrdyは15/30(50%)の頻度であった。代々選抜交配をすることにより白内障の発症率が高まり小眼球症及び斜視が観察されるようになった。このことにより系統育成は両親共に両眼小眼球同士の交配を行うように心掛け、前述の組合せが不可能な場合は、小眼球と白内障の交配又は両親共に白内障同士の交配を行いながら系統維持した。 小眼球同士の交配により白内障が多数観察されることにより網膜変性症のpinkeyeーrdyの白内障の遺伝様式は、ホモタイプでは小眼球症、ヘテロタイプでは白内障を示す常染色体性単一劣性遺伝ではないかと考えられた。pinkeyeーrdyとblackeyeーrdyにおける白内障の発症頻度は23%、3%でありピンクアイの遺伝子がp/pとP/P以外何も違わないにもかかわらず網膜変性の病理所見及び白内障の発症率が異なることの原因究明のために、今後毛色がブラックで眼色がブラックの系統にpinkeyeーrdy又はblackeyeーrdyのrdy遺伝子の遺伝子導入を行う、congenic strainの育成が望まれる。ガラクト-ス及びサッカロ-スを用いた投与実験では約2週間後に白内障が肉眼的に観察される以外は網膜変性に対して何も影響がなかった。
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