球状植物ウイルスの代表例であるタバコネクロシスウイルス(以下TNV)は約30Kの殻タンパク質180個とそれに取り囲まれた約1.4K塩基の1本鎖RNAにより構成されている。TNVは自己のRNAと相互作用の特異性が最も高いウイルスなので、殻タンパク質とRNAの相互認識機構を解明する上で格好の資料である。我々は、8^^゚分解能においてTNVが殻タンパク質の配置においてSBMVと非常によく似ていることを明らかにした。さらに分子置換平均法によりTNVの5^^゚分解能での電子密度図を得た。 解析は、SBMVと同じ構造のポリアラニンの原子座標より求めたFcとTNVのFoとで交差回転関数を計算してサブユニットの向きを決めた。更にこのポリアラニンで並進のR値検索を行い、R=0.419の最少値が求まった。この位置での構造から初期位相を求め、8^^゚分解能の電子密度を計算した。これを初期電子密度として正二十面体の対称である5回回転軸を使った分子置換平均法による電子密度の精密化及び位相の拡張を行った。今までに約100サイクルの精密化でTNVの5.02^^゚の電子密度を得ており、FoとFcの相関係数は0.919、R値は0.161になっており、精密化は成功した。TNVの電子密度にSBMVの主鎖を重ねあわせてみたところ、TNVの微細構造が現われ初めていることが判明した。現在この電子密度をもとにSBMVの構造を組み立てている。
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