研究概要 |
小麦粉醗酵性細菌のEnterobacter cloacae GAO(以下GAOと記す)はCO_2とH_2ガスを生じて小麦粉生地を膨化する。GAOの水素ガス生成条件を検討したところ、G-培地というグルコ-ス含有基本培地に、各有機酸0.1Mを加えて培養した結果、ビルビン酸、フマ-ル酸では総ガス生成量が基本培地に対して約2.7倍となったがH_2/CO_2比は基本培地1.20に対して、それぞれの有機酸の場合0.10となりCO_2が増加していた。これに対して乳酸を添加した場合には総ガス量は1/5に減じたがH_2/CO_2比は逆に約10.0となった。また、炭酸源としてビルビン酸、クエン酸、フマ-ル酸、リンゴ酸を単独に用いるとH_2ガス発生比高くなることを認めた。乳酸単独の場合は25.0mMのときがH_2/CO_2比は7.60と最も高くなった。 次に窒素源とガス量比の関係をみた。G培地はアスパラギン単独であるが、これに無機塩及びカザミノ酸を加えたとき、ガス量が最大になるのはカザミノ酸添加の場合でG培地の2.5倍であり、H_2/CO_2比は0.60となった。これよりややよいのが尿素添加時であり、1.5倍のガス量がみられ、H_2/CO_2比は0.70と高くなった。硫酸アンモニウム添加時はガスの量が0.67倍と少量となるがガス比は2.00と水素ガスの比率が高くなった。 以上ガスの絶対量が多くなるのはカザミノ酸添加時であり、H_2/CO_2比が大きくなるのは乳酸添加時であることを認めた。 GAO菌のβ-galactosidaseをラクト-スを含むブイヨン培地で培養した菌体を超音波破壊後、ストレプトマイシン処理、硫安塩析、セファクリルS-200、DEAEトヨパ-ル、アフィティクロマト、FPLCにより電気泳動的に単一なるβ-galactosidase1,2を精製した。両酵素の分子量は約210,000で二量体であった。
|