1.研究目的 沖縄は日本一の長寿県であり内外から注目をあびている。しかし一方では、本県における心疾患が死因の第2位に浮上したのが全国より3年早く、米国統治による食生活への影響が大きいものと思われる。本研究は成人病予備群といわれる若年者と長寿者について、それぞれ食行動を調査し生化学的検査との関わりについて検討を行い成人病のリスクファクタ-の早期把握を目的とした。 2.研究方法 本年度は県内那覇市鏡原中学2年生男子124名、女子126名計250名対象に食生活に関するアンケ-ト調査を実施し、その中から男子42名、女子44名計86名について早朝空腹時に採血を行い血清脂質、たんぱく質、尿酸等について測定した。又、長寿者が養生食として好んで摂取しているいかの墨汁に用いる黒墨の脂質成分について分析を行った。 3.結果.(1)中学生の食生活調査においては栄養のバランスに気を配るのが26%と低く、間食ではスナック菓子や清涼飲料水の摂取頻度が高かった。3日間の摂取食品数の1日平均が25種であったがその55%が学校給食より摂取されており、学校給食への依存度の高いことが認められた。(2)血液検査では、平均総コレステロ-ル値は男子が163.2±45mg/dl、女子が142.8±23.7mg/dlで男子では200mg/dl以上が15%もみられた。中性脂肪は男子61.8±22.8mg/dl、女子では69.5±20.6mg/dlであった。尿酸では男子6.4±1.2mg/dl、女子4.8±0.97mg/dlと性差がみられた。総たんぱく質、ヘモグロビンにおいては性差はなかった。男子のロ-レル指数と高い相関の認められたのは総コレステロ-ル、尿酸及び中性脂肪であった(P<0.01)。(3)いか墨の脂肪酸含量では、アオリイカが1.2%と最も高く、次いでとびいかの0.2%、甲いか0.1%であった。墨の脂質含量は捕獲時期や生育度によっても異なるためさらに定量を続けていきたい。また、脂肪酸組成ではアオリイカに高度不飽和脂肪酸が多く含んでいた。
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