本研究は本年度から開始されたものであり、ほぼ計画どおりに進行している。これまでに得られた研究成果の要点は以下のとおりである。 1.本学管理栄養士専攻学生223名について血縁者の既往暦を調べた結果、3親等以内者2600名中糖尿病患者79名(男性52、女性27)、尿糖定性検査陽性者98名(男性62、女性36、うち42名が血縁者に発症者あり)を見出した。 2.本学管理栄養士専攻3年生67名について、身体計測では身長・体重・4箇所の体囲の他、栄研式定測2箇所の皮脂厚、豊川方式による超音波法5箇所の皮脂厚、ならびに腹厚・腹幅・ウエスト・ヒップの合計17項目の測定を行った。糖質代謝では、食前と食後2時間の尿糖値、食後2時間の血糖値を標準酵素法で実測した。遺伝素因は、質問紙法により、3親等内の糖尿病既往者と有症者の数を集計した。食事摂取については、食事診断表を用い、調査集計した。 おもな結果は以下のとおりである。身長(158.2±4.55cm)、体重(52.5±5.07kg)、肥満度(0.4±9.61%)のほか、上腕囲・大腿囲・胸囲・腹囲・腹幅・腹厚・ウエスト・ヒップは、ほぼ標準範囲であったが、このうち5名が肥満度15%以上を示した。栄研式の皮脂厚(合計29.4±6.6cm)と超音波値とは一定の相関(γ=0.6〜0.7)を示した。諸身体計測値の中では、上腕の筋肉量と皮脂厚を再計算し、解析を試みたところ、上腕囲と上腕筋肉量とが上記前計測値の相関列の内で最高値を示した。尿糖値(食前:9.9±4.96mg/dl、食後:13.2±12.73mg/dl)は、正常範囲にあった。3親等以内の血縁者からの発症者は、推定母数の3.9%であった。食事についての個人調査の結果では、質・量ともに変った点は見受けられなかった。また、上記高尿糖者の6名については血縁者からの発症者数は特に高くなかった。
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