近年、生活排水を対象とした比較的小規模な排水処理法として、土壌の浄化能を利用した処理法が注目されている。洗濯排水に土壌処理法を適用するためには、土壌による界面活性剤の除去機構を明らかにしておくことが必要である。そこで本研究では使用量の増加しているポリオキシエチレンアルキルエ-テル(AE)の土壌粘土にたいする吸着特性、リバ-・ダイアウェイ法による生分解性について検討した。まずカオリン、セリサイトなどの粘土鉱物をそれぞれバッチ法によりAE水溶液(C_<10>E_5;C_<12>En、n=5〜8;C_<14>E_7)と接触させ、平衡吸着に到達後遠心分離し、上澄み液の界面活性剤濃度を全有機炭素(TOC)および高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)により分析した。25°CC_<12>Eのセリサイトへの吸着等温線を求めると、低濃度ではLangmuir型の吸着を示した後、CMC付近までは3〜4段階の吸着量の増加がみられ、CMCを過ぎるとほぼ飽和に達しており、濃度増加に従い多分子層吸着が起こるものと考えられる。またCの数の増加やEOの付加モル数の減少により、溶解性が低下し、吸着量の増加が見られた。カオリンの場合はセリサイトと類似した結果が得られたが、粘土の比表面積が小さいため飽和吸着量も少なかった。次に多摩川の河川水にAE(C_<10>〜_<16>、EO5〜8)を加えてダイ・アウェイテストを行い、一定時間毎に試料水を採取し、TOC、HPLCによる分析から生分解度を調べた。その結果、EO付加モル数7、アルキル鎖炭素数10〜16の4種のAEの生分解性は炭素数の増加に従い分解速度が減少すること、また炭素数10、EO数5〜8、および炭素数12、EO数5〜8の7種のAEにつきEO付加モル数の影響をみたが、この範囲では顕著な違いは認められないこと、また実験初濃度を10、20、30ppmと変化させると、初濃度が高いほど活性剤の消失には時間がかかることなどがわかった。
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