<目的>生活における臭気の問題は、快適性に重要な影響を与えるが、寝たきり老人の寝環境においては、健常者以上に深刻な問題であると思われる。本研究は、実施調査により臭気の現状を把握すると共に、代表的な抗菌防臭繊維について実験的な検討を試みたものである。 <方法>1)実態調査:調査対象者 広島県内に居住する寝たきり老人(N=370)、調査時期1989.7.10〜9.10、調査方法 質問紙調査法、調査内容 寝たきりの状態、介護状態等40項目、解析方法 数量化理論第2類等 2)抗菌防臭試験:Escherichia coliを用いて、市販抗菌防臭繊維(製品)の抗菌性を測定した(シェ-ク フラスコ法)。又、防臭性については、女子学生をパネラ-とした官能検査を行った。(N=46) <結果>1)実態調査結果:不快臭に悩まされている介護者の割合は、66.7%であり、その原因は、部屋の空気(54.8%)、おむつ(52.8%)、老人の体臭(46.8%)等であった。又、対策としては、繊維製品の洗濯回数の増加等、種々な方法がなされていた。不快臭の悩みの有無を目的変数、他の要因(20要因)を説明変数とした数量化理論第2類の解析において、老人年齢、入浴頻度、清拭頻度、寝室様式、寝室の広さの各要因は、目的変数との関連が大きいと考えられた。2)抗菌防臭試験結果:市販抗菌防臭繊維(製品)の中には、菌の増殖抑制力が、非常に強いものが認められた。又、抗菌性と防臭性の関連は高い結果となった。
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