研究概要 |
本年度は,全体の2年目であるが,昨年度の理論研究につづいて,実際の歴史分析に入った。本年度の歴史的分析としては,(1)フィ-ド・バック制御の発達過程を中心として行なうことができた。フィ-ドブック制御の理論史は,機械的構造の一定の発展段階で運動部分の安定性の問題から出発している。ロットのガバナ-の安定性の理論的研究や原動機(風車・水車)の安定性問題の研究は機構学的には,静力学的解析法から運動力学的解析法へと理論をすすめることになった。この過程では,従来あまり注目されなかったヴィシネグラスキ-のガバナ-解析の運動方程式が重要な役割を果したことが明らかとなった。ついで,チェ-ソヒ工業大学の研究者達の貢献は,この流れでの基本的な解決をもたらす意義があったことをつきとめられた。制御理論の第二段段はサ-ボメカニズムの解析であった。技術的にはサ-ボ機構は巨大船の操舵問題として現れた。第三段階は電気技術の確立,とくに発電機の自己耐磁方程式が,正のフィ-ドバック理論の楚持をつくり出した。ついで電動機の機械技術等の結合に至るわけであるが,この問題は電動機自身の制御問題であると同時に機械全体としては位置制御の問題と提是していた。制御理論史の第6段階は,機構との結合でこれにはコンピュ-タのによる機械制御を位置づけることができる。この前にコンピュ-タの制御自身の発達という特殊な過程を第5段階とみなしうる。第5と第6の段階は制御理論自身の特化と本来的な制御問題への回帰という関係と解釈されるがこの相互関係では実は化学工程での制御問題が発端をなしていると同時に,この問題は独自の制御体系の形成につながった。これは制御が本来的に他の労働手段との関係において「受動的」であるということに起因すると考えられる。次年度は昨年度の理論研究とを合せ,総合的に以上のような発展史の全体像を描く。(2)なお本年は機械と化学の比較も行なった。
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