この研究は、これまでにも体力評価については様々な評価基準が性・年齢別に設定されているなかで、その多くが体力測定結果の平均値及び標準偏差ないしは分布に基づく、いわゆる1変量の統計的処理による体力評価であること、及び身長と体力の相関から身長の大小を考慮した体力評価であることをふまえて、これらを文献でおさえた上で、体格項目との相関の高い体力項目について多変量統計解析を用いて、体格を考慮した性・年齢を貫ぬく体力評価基準を作成することをねらいとしている。 はじめに、体力評価基準の検討という視点での、体力テスト・評価文献の整理という点では、主として日本体育学会測定評価専門分科会の動向をさぐるなかで、ある程度これまでの体力評価方法論を体系的に整理するに至っている。 次に、体力テストバッテリ-の作成については、男女10歳から59歳まで共通の6種目構成による体力テストバッテリ-を分析資料として、相関分析を行うとともに、性・年齢段階ごとの種目別分布をも考量して、年齢を通した種目得点及び性・年齢別体力得点をまとめて1表で読みとることのできる体力評価表を作成した。さらに、この評価表について、体格と体力の正準相関の知見から、発育期にある年齢段階において体格の大小を考慮した評価を加えるべくシュミレ-ションを行っている。これからの作業としては、この評価表が高いレベルの妥当性を保ち得るかどうかについて統計的な検討を行う予定である。
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