研究結果をまとめてみると、次のような知見が得られた。 (1)60m疾走タイムについて、実験群には運動学習の適性処遇交互作用がみられ、リレ-ゲ-ム中心の学習内容は疾走能力の中間層から遅い児童に貢献する傾向が見られた。 (2)バトンパスタイムについて、4年生でも、走る距離や、チ-ムの人数など条件を整えていけば、リレ-タイム・バトンパスタイムが短縮するのでリレ-の教材としての価値は十分にあると思われる。 (3)60m疾走中の速度、歩幅、歩数の変化について、特別にピッチを速く、ストライドを長くして走るように指導しなくてもリレ-ゲ-ム中心の教材を用いると、児童は歩幅を長くしたり短くしながらも共通的には歩数頻度を高めて走る傾向を示した。 (4)「リレ-・短距離走」に対する児童の運動意欲について、男女とも走力が高くなるほどほど高い運動意欲を示している。しかし、走力の低い児童では、自信や友達と仲良くする、授業への価値観などに消極的な態度がみられ、更に、失敗回避傾向も強く見られた。このことから、極めて教材価値の高いリレ-でも、足の遅い児童にとってかなりの心理的負担であったことが判明した。
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