研究概要 |
長期水泳訓練が喘息児の肺換気機能、エネルギ-代謝及びカテコラミン等に及ぼす影響について検討し、更に季節変動があるといわれる免疫グロブリン(IgE)に対する水泳の影響も併せて検討し、喘息児の健康づくりを目的とした水泳の有効性について報告する。 被験者:6歳〜11歳喘息男児8名(軽症4名、中等症2名、重症2名)6歳〜12歳喘息女児11名(軽症10名、中等症1名)、合計19名である。 第1期水泳訓練は平成元年11月〜平成2年5月、週1回、1.5時間づつ実施し、現在も継続中である。 測定:第1回、平成元年10月及び第2回平成2年3月、肺換気機能(FEV_<1.0>)kg,エネルギ-代謝、カテコラミン、IgEについて、0.035kp/ kg,6minと10minの自転車エルゴメ-タ-による運動負荷中の値を測定した。 結果:(1)FEV_<1.0>は運動10分後に軽症児15%、中・重症児では25%の低下を示した。(2)エネルギ-代謝は健常児にくらべ高い値を示した。径皮的O_2分圧は高く、肺におけるガス交換に問題が認められる。即ち、換気量は健常児より有意に大きく、しかも血中乳酸値も有意に高い値を示した。(3)カテコラミンは、健常児に比べて有意に高い値を示し、殊にアドレナリンは運動終了10分後においても安静時の値へ回復しなかった。しかし、第2回測定時にノルアドレナリンノの値は健常児の値との間に差が認められなくなった。(4)IgEについては、第1回測定時に平均500IU/mlあった。しかし、第2回測定時にもその値には変化なく、一般に言われている季節変動は認められなかった。 まとめ:現在水泳訓練は継続中であるが、喘息児にとって運動がストレスとなっていたようであるが、肺換気機能の向上が認められ、それと同時にエネルギ-代謝に改善がみられ、喘息児たちは喜んで水泳訓練に参加するようになった。
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