研究概要 |
〈目的〉水泳や短距離走の瞬時速度を計測することは泳又は走の動作と加減速の因果関係を知るために非常に大切である。プレ-ヤ-の瞬時速度のデ-タから毎ストロ-クにおける最大加速度や最大速度等の有用な情報を実時間で抽出してプレ-ヤ-に伝達すれば自分のプレ-とその結果達成されたパフォ-マンスの因果関係を、プレ-中に理解させることができ、新らしい技法やトレ-ニング法の開発の可能性が期待される。 本研究ではその目的に沿って瞬時速度の遠隔計測システムと抽出された情報を音声でプレ-ヤ-にフィ-ドバックするシステムを作成し、その性能と応用性について検討した。 〈方法〉測定対象の運動体に特殊反射シ-トを貼付し、光ビ-ムスキャナ-で測定空間を走査する。運動体から反射光が再帰する時刻を正確に計測し、対象の位置を求める。作成したシステムの計測性能は、(1)測定範囲:56゚,(2)最大測定距離25m、(3)測定分解能0.06mm(10m)、0.18mm(15m)、0.82mm(25m)、(4)測定精度:測定範囲全域で0.7mm以下である。運動計測デ-タをGPIBで次のコンピュ-タ-に転送し、速度、加速度等の値を求め、さらにその数値デ-タを音声変換コンピュ-タに転送し、合成音声に変えてプレ-ヤ-にCB無線で伝える。 〈結果〉本システムで水中対象物の計測を行い、(1)静水の場合、空気中と同じ測定精度が得られる。(2)動水の場合、波による水面下でのビ-ム径路の変動に起因する測定雑音(約3mm)が存在するが測定可能であることがわかった。 次にソフトボ-ル投げの初速度(手からボ-ルが離れた瞬間の速度)を計測し、音声フィ-ドバックするシステムを作成し、投球練習に応用した。速球(11.08m/sec)と超スロ-球(7.08m/sec)を投げわける練習において有効に動作することを確かめた。
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