研究概要 |
本研究は,小児の不可解な骨折および老齢期における骨粗鬆症の増加原因と予防法を明らかにする目的から,実験Iでは発育期について,実験IIでは老齢期について,それぞれ運動やCa摂取有の違いが骨硬度・骨成分などに,どのような影響を及ぼすのかをマウスを用いて経時的に検討したもので,結果は以下のとおりである。 <実験I・発育期> (1)大腿骨重量は,雄は非運動群に比し運動群が,雌では低Ca食群に比し普通食群がそれぞれ高値を示した。(2)骨硬度は,雌雄とも運動・普通食群が最も硬く,雄では13週齢以降で,雌では7週齢以降で他の群との間に有意差が認められた。(3)骨成分のCaとP値はともに雌雄とも運動・普通食群が最も高値を示した。(4)骨中のヒドロキシプロリン量は,各群とも発育に伴い漸次減少し,雌雄とも非運動・低Ca食群が低値傾向を示した。(5)血清CaとP値は,各群とも正常範囲を示し群間の差は認められなかった。 <実験II・老齢期> (1)大腿骨重量は,雌は運動・普通食群が高値を示したが,雄では4群間に差は認められなかった。(2)骨硬度は,各群とも加齢に伴い低下傾向がみられたが,雌雄とも低Ca食群に比し普通食群の低下は緩やかであった。(3)骨成分のCa,Pおよびヒドロキシプロリン値は,いずれも骨重量当りの濃度では4群間に差は認められなかったが,骨全体量では低Ca食群に比し普通食群は高値概向にあった。(4)血中カルシトニンおよびパラソルモン濃度は,雄では4群間に差は認められなかったが,雌のパラソルモン濃度は非運動群に比し運動群は低値を示した。 以上の結果から,運動およびCa摂取は,発育期の骨重量や骨硬度および老齢期の骨脆弱化の予防などに好影響を及ぼすものと考えられていた。
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