体育授業における学習活動の主要部分は身体活動であり、身体活動を通じてはじめて体力の向上や運動技能の学習が可能となる。我々は従来、この授業時の学習活動量でもある身体活動量を測定できる装置として身体活動にともなう加速度の変化や、筋電図などの利用を検討してきたが、低廉性と簡便性に問題があり、実際の授業に利用するには至らなかった。 低廉で簡便とことで活動時の身体の上下運動にともなう加速度の変化を歩数として検出する歩数計の応用に思い当り、歩数計を利用した体育授業の分析を数多く試みた。しかし、歩数計に歩数として表示される数値は測定時までの総数を示すものであって、途中経過、すなわち、経時的な資料を知ることはできない。そこで本研究ではこの歩数計による歩数の信号を電気的なものとして、ICメモリ-に磁気的に記憶させる工夫をした。そして、一定時間(ここでは一授業時間)経過後に記憶させた歩数情報(身体活動状況)をインタ-フェイスを介してコンピュ-タ-に取り込み、処理をさせアクトグラフィ-として表示する(図)システムを試作した。 教材によってアクトグラフィ-(身体活動量とその状況)が異なることは勿論であるが、同一教材を同一指導に指導した場合でも児童生徒の性格や体力水準、運動能力によってアクトフラフィ-に差のあることも明らかとなった。アクトグラフィ-によって授業診断を短時間のうちに、かつ簡便におこなうことが可能となり、さらに、アクトグラフィ-が授業研究の有力な資料となりうることが示唆された。
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