近年、一般社会人が生活の内に積極的な身体活動を取り入れる必要のあることが指摘されているが、そのための運動処方を作成するためには、測定の容易な個々人の心拍数や歩数からその活動量を算出し、運動処方をも、心拍数や歩数を用いて提示することができると考えられる。 そこで、ガス分析装置および呼気流量計をマイクロコンピュ-タと組み合わせ、運動負荷時のリアルタイムにおける心拍数、体温、エネルギ-消費量測定が可能なシステムを組み立て、林業労働者、学生、大学教員、主婦等、多数の被験者に対し、臥位、椅座位、および立位をとらせた後、踏み台昇降による6段階の運動負荷を与えて、エネルギ-消費量、心拍数、一部の被験者については体温を測定し、エネルギ-消費量と、心拍数、体温相互の関係を示す回帰方程式および多重回帰方程式を求めた。また、先に研究代表者の開発した、携帯式心拍数等記録装置を追加製作し、同時に多数の被験者についての測定を可能にし、上記の各被験者について、1分ごとの心拍数、または心拍数と体温と歩数を一昼夜にわたって連続的に記録した。 この、一昼夜の測定結果と前述の回帰方程式を用いて、日常生活における活動の種類に対応する心拍数、体温、歩数、エネルギ-消費量、および一日のエネルギ-消費量をそれぞれ算出した。さらに、これらのデ-タ相互の時間的な対応関係をも含めて考察した。その結果、心拍数を用いることによって、運動処方の的確な提示が可能なこと、体温を測定することによって精度を高めることができること、簡便には歩数のみで提示可能なことが明らかになった。
|