本年度は、国民体育大会開催年の競技成績からみて、その競技成績が維持されている府県、あるいは後退した府県等から、典型的な府県として分析を予定していた山梨県・群馬県・奈良県・京都府・鳥取県のうち、特に京都府を中心にして、山梨・群馬・鳥取の各県における資料収集と鳥取県での聞き取り調査を行った。 資料収集とはおよそ次のものを重点にして行った。(1)当該府県の、国民体育大会開催年度前5年から今日に至る、国体予選会におけるベスト10位の記録維持、および各年度における全日本ベスト10位の記録維持とのレベル差比較。(2)当該年度における登録競技人口維持、および国体予選参加者数。(3)国体開催年度における当該府県の国体出場選手の国体前5年から競技成績の経年変化、およびその選手がどのようなコ-チに師事していたのか被コ-チング歴。(4)国体開催前5年からの選手強化費の維持と具体的支出細目における割合。(5)コ-チングスタッフの組織化の度合。 それぞれの府県あるいは全国的な記録変化についてはパソコン入力中であり、それとの関係での細かい分析は出来ていない。これまでのところでは、選手強化費の使われ方に関わって、若干の違いが見られるが、一般に強化指定選手あるいはそのコ-チに対する「ばらまき」型の執行になっている部分が多いという共通点が見られた。国体開催に向けて強化予算額が多くなるとともに、確かに記録も上がってきてはいるが、国体関連予算増に対する府県民の合意は必ずしも容易ではなく、結局、開催後予算減が始まり、「ばらまき」がなくなるとともに記録衰退が始まるパタ-ンとなっている。他方、指導者・コ-チの量的水準が高くて競技成績の上がらない県や、その逆の例も見られることから、コ-チング体制やコ-チャ-条件等により綿密な分析が必要である。
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