研究概要 |
1.カテプシンEの一次構造を明らかにするための第一段階として、精製ラットカテプシンEのN端アミノ酸配列(50残基)を明らかにした。こきN端構造は、ペプシンA、C、レニン、カテプシンDといった他のアスパルティックプロテア-ゼのN端配列との間に高い相同性が認められ、カテプシンEが本酵素群の一員であることの構造面での証拠が得られた。また、カテプシンEがアスパルティックプロテア-ゼ中最も長いN端構造をもつことも明らかとなった。 2.精製カテプシンEの単クロ-ン抗体を作製した。免疫したマウスの脾細胞とミエロ-マ細胞の融合により、抗体産性ハイブリッド-マ1株を得ることができた。この単クロ-ン抗体(3E5)はカテプシンEの蛋白質部分を認識し、生合成・プロセシングの調査に有用であることが分かった。 3.精製カテプシンEのもつ糖鎖の数、およびその糖組成について明らかにした。カテプシンEをエンドグリコシダ-ゼH、Fで処理し、単クロ-ン抗体を用いたSDS-PAGE-イムノブロット解析を行ったところ、分子量2,000の減少がみられ、カテプシンEが高マンノ-ス型糖鎖を1本もつことが示唆された。また、ガスクロマトグラフィ-により糖組成を分析したところ、1本の高マンノ-ス型糖鎖の存在を支持する結果が得られた。 4.現在進行中の生合成・プロセシングに関する調査において、(1)カテプシンEはまず、精製酵素より分子量4,000大きなformとして合成されること、(2)細胞抽出液中で認められる分子は、精製酵素よりも分子量2,000大きなformであることが明らかとなっている。恐らく、カテプシンEのプロ配列部は二段階切断を受けるものとみられ、本酵素の活性化との関連で興味ある展開が期待される。
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