1.カテプシンEのN端構造解析の結果、本酵素がアスパルティックプロテア-ゼ群の中で最も長いN端配列をもつことがわかった。また、プロカテプシンEから成熟型カテプシンEへの変換の際のプロセシングサイトが明らかとなった。 2.プロカテプシンEからカテプシンEへのプロセシングは、酸性条件下で自己触媒的に起こり、この際2500Da分子量低下がみられた。一方は、マクロファ-ジと用いたpulseーchase実際では抗カテプシンE抗体により捕促される分子は46KDaであり、プロカテプシンEの分子量とは異っていた。この分子はchase48HR後も存在しており、より小さな分子種への変化はみられなかった。この分子がプレプロ型なのか、プロ型の糖鎖修飾体なのかは不明のままである。 3.成熟型カテプシンEは1本のNリンクの高マンノ-ス型、鎖をもつことがわかった。このことは、カテプシンEが粗面小胞体で合成されることを意味する。しかし、生化学的な細胞内顆粒分画実験では、本酵素は細胞膜・ER画分とサイトソル画分に存在することが知られており、本酵素がERで合成されたのちにいかなる機構でサイトソルに移行するのかといった興味ある問題が未解決のまま残っている。 4.カテプシンEは内皮細胞が分泌するエンドセリンの前駆体ビッグエンドセリンに特異的に働き、エンドセリンを産生する。この反応は酸性条件下でおこるが中性域ではカテプシンEの活性は認められなかった。また、内皮細胞がカテプシンEをもつという証拠は得られなかった。 本研究および他の研究グル-プの努力により、カテプシンEの構造面でのデ-タは近年飛躍的に増加したが、機能面からの更なるアプロ-チが今後必要となろう。
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