1)酸性型エンドセリン変換酵素の精製と特性解析 ウシ副腎髄質のクロム親和顆粒より、ビッグエンドセリンー1を基質としてエンドセリンー1に変換する酵素を単離した。その酵素は、至適pH3.5であり、ペプスタチンにより完全に活性は阻害され、分子量解析から、カテプシンDか非常によく似た酵素と考えられた。次に、ウシ血管培養内皮細胞の変換酵素を探索し、同様な酸性プロテア-ゼの存在を確認した。抗カテプシンD抗体を作成し、その酵素を調べた結果、抗体により活性が除去されること、また分子量がカテプシンと同一であることからカテプシンDと結論した。しかし、カテプシンDは、エンドセリンー1そのものも分解することが判明し、非生理的な変換活性と結論した。 2)中性金属型エンドセリン変換酵素の精製と特性解析 エンドセリンー1を産生する脳、肺からエンドセリン変換活性をもつ酵素を探索した。その結果、脳および肺のいずれからも膜結合性、至適pHが約7であり、EDTA、ホスホラミドンにより活性が強力に抑えられる中性金属プロテア-ゼを見いだした。 3)ホスホラミドンによる培養内皮細胞への効果およびラットin vivo投与の解析 ホスホラミドンはビッグエンドセリンー1のラットin vivo投与による昇圧反応を強力に抑えた。また、内皮細胞の培養上清中の解析から、エンドセリンー1濃度が減少し、ビッグエンドセリンー1濃度が増加した。細胞内濃度の解析も同様であった。以上の結果は、ホスホラミドンが細胞内に浸透し、エンドセリン変換酵素の活性を阻害したためと考えられる。
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