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1989 年度 実績報告書

ガングリオシドによる活性調節されるタンパクリン酸化酵素の構造と機能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 01580153
研究機関東京大学

研究代表者

辻 崇一  東京大学, 医学部(医), 助手 (90124677)

キーワードガングリオシド / タンパクリン酸化 / 神経芽腫瘍細胞 / 神経膠腫細胞
研究概要

神経系の株細胞(神経芽腫瘍細胞株、褐色細胞腫細胞株、神経膠細胞腫細胞株ならびに神経膠星状細胞株)を用いて、膜局在型のタンパクリン酸化酵素系ならびにガングリオシドによるその調節機構を、膜を透過出来ないタンパクリン酸化酵素阻害剤--K-252b--を用いて解析した。その結果、1.細胞にintactな状態で外からATPを加えてリン酸化されるタンパク質群の中でK-252bで阻害される群があった。従って、ecto型のリン酸化酵素が間違いなく存在すると考えられた。2.ecto-型の活性は神経系細胞(神経膠細胞腫細胞株と褐色細胞腫細胞株)の方がグリア系細胞(神経膠細胞腫細胞株ならびに神経膠星状細胞株)よりも高かった。また、SDS-PAGEで見る限り、神経系細胞の方が基質の種類も多く、それぞれ分子量的に極めて良く似ていた。3.外因性ガングリオシドGQ1bにより活性化されるecto-型のタンパクリン酸化型酵素を持つのは、調べた範囲内では、GOTO細胞のみであった。GQ1bに対する特異的なモノクローナル抗体を用いて調べてみたところ、他の細胞と異なって、この細胞だけが内因性GQ1bを持っていなかった。4.GQ1bによるecto-型リン酸化促進を阻害する試薬は、K-252bも含めて、全てGOTOの神経突起伸展作用を阻害した。従って、ガングリオシド依存性のタンパクリン酸化は神経突起伸展作用に極めて深く関与していると考えられる。さらに、神経研の黒田博士らのK-252bはシナプス形成を阻害するという事実を考え合わせると、この酵素活性は可塑性等を含めた神経機能と何等かの関連があるものと考えられる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] Nagai,Y.: "Biological significance of ecto biosignal transduction:Carbohydrate recognition coupled with cell surface protein phosphorylation." “Gangliosides and Cancer"ed.by Oettgen,H,F.VCH Weinheim,FRG.31-39 (1989)

  • [文献書誌] Nagai,Y.: "Bioactive ganglioside-mediated carbohydrate recognition in coupling with ecto protein phosphorylation." “Carbohydrate recognition in cellular function"Ciba foundation symposium. 145. 119-134 (1989)

  • [文献書誌] Ito,J.: "Induction of astroglial growth inhibition and diffrentiation by sialosyl cholesterol." Brain Res.481. 335-343 (1989)

  • [文献書誌] Yamamoto,H.: "Tetrasialoganglioside GQ1b reactive monoclonal antibodies:their characterization and application for quantification of GQ1b in some cell lines ofneuronal and adrenal origin(s)." J.Neurochem.54. 513-517 (1990)

  • [文献書誌] Wada,H.: "Cell type-specific expression of the genes for the protein kinase C family:down regulation of mRNAs for PKCa and nPKCe upon in vitro differentiation of a mouse neuroblastoma cell line Neuro2a." Biochem. Biophys.Res.Commun.165. 533-538 (1989)

  • [文献書誌] 辻崇一: "整理活性糖質脂質と情報伝達モジュレーター糖脂質" 細胞. 21. 177-181 (1989)

  • [文献書誌] 辻崇一: "細胞接着因子とガングリオシド" 代謝. 26. 63-70 (1989)

  • [文献書誌] 山下達朗: "細胞の増殖と分化における糖脂質依存性蛋白リン酸化酵素の細胞生物学的意義" Human cell. 2. 29-34 (1989)

  • [文献書誌] 辻崇一: "Ganglioside as a modulator of intercellular signal transduction" 動物生理. 6. 226 (1989)

  • [文献書誌] 辻崇一: "分子神経生物学ー御子柴克彦,野田晶晴編.ーシリーズ分子生物学の進歩11;日本分子生物学会編ー" 丸善, 396 (1989)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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