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1990 年度 実績報告書

フィブロネクチン結合性プロテオグリカンのコア-蛋白の構造と機能

研究課題

研究課題/領域番号 01580169
研究機関静岡県立大学

研究代表者

伊勢村 護  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (40028197)

キーワード胎盤 / プロテオグリカン / フィブロネクチン / 細胞接着 / 細胞伸展 / 細胞外マトリックス / 癌 / 基底膜
研究概要

ヒト胎盤のフィブロネクチンの研究途上、新しく見いだしたフィブロネクチン結合性プロテオグリカンについて本研究を進めた結果、次のようなことが明らかになった。1.血漿フィブロネクチンをサ-モライシンで限定分解し、細胞接着ドメイン、ゼラチン結合ドメイン、ヘパリン結合ドメインに分画し、本プロテオグリカンとの結合性を調べた結果、ゼラチン結合ドメインと相互作用することが明らかになった。2.羊膜上皮細胞の培養系を用いて、本プロテオグリカンの生理活性を調べた結果、本プロテオグリカン自体は羊膜上皮細胞の接着、伸展促進活性はないが、フィブロネクチン表面に結合させておくと、フィブロネクチンに接着した羊膜上皮細胞の細胞伸展が著しく促進されることがわかった。この結果は、細胞外マトリックス成分が複合して細胞の活動制御に関わっていることを示唆している。3.皮膚扁平上皮癌組織を調べた結果、高分化型では腫瘍巣の基底膜はほとんど分断されていないが、低分化型では分断の程度が大きく、プロテオグリカンをはじめとする基底膜成分の酵素による分解が大きいことが示唆された。また、エクリン汗腺分化型の3種の皮膚癌組織を調べた結果、基底膜上の本プロテオグリカンもラミニンやIV型コラ-ゲンと同様に分断されており、癌細胞の高い分解活性によるものと推定された。一方、本プロテオグリカンが腫瘍組織の間質にもフィブロネクチンと共存して存在していることが明らかになり、腫瘍においても本プロテオグリカンがin vivoでフィブロネクチンと結合して存在している場合があることを示唆する新知見が得られた。今後、cDNAの解析などを通して本プロテオグリカンのコア-蛋白の構造を決定し、機能との関係を明らかにしていくことが必要である。

  • 研究成果

    (15件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (15件)

  • [文献書誌] M.Takamoto: "Structures of asparagineーlinked oligosaccharide of human placentalfibronectin." Journal of Biochemistry. 105. 742-750 (1989)

  • [文献書誌] M.Takamoto: "Detection of bisected biantennary from in the asparagineーlinked oligosaccharides of fibronectin isolated from human term aminotic fluid." Journal of Biochemistry. 106. 228-235 (1989)

  • [文献書誌] T.Kazama: "Immunohistochemical localization of heparan sulfateーcontaining proteoglycan in normal human skin with monoclonal antibodies:comparison with that of fibronectin." Archives of Dermatological Research. 281. 440-442 (1989)

  • [文献書誌] A.Oomura: "Alterations in the extracellular matrices in human glomerular diseases." Virchows Archiv A. 415. 151-159 (1989)

  • [文献書誌] K.Oguro: "Immunohistochemical alterations in basement membrane components of squamous cell carcinoma." Journal of Investigative Dermatology. 96. 250-254 (1991)

  • [文献書誌] T.Kazama: "Immunohistochemical alterations of basement membrane components in carcinomas with eccrine differentiation."

  • [文献書誌] 高橋 達: "肝細胞外マトリックスフィブロネクチン" 肝胆膵. 18. 379-387 (1989)

  • [文献書誌] 伊勢村 護: "細胞接着とインテグンス-パ-ファミリ-" ファルマシア. 26. 827-831 (1990)

  • [文献書誌] 伊勢村 護: "神経組織のフィブロネクチン" 細胞. 22. 336-339 (1990)

  • [文献書誌] 伊勢村 護: "細胞のがん化、転移と細胞外マトリックス" BIO medica. 5. 25-28 (1990)

  • [文献書誌] 伊勢村 護: "細胞外マトリックス Fibronectin" 肝胆膵.

  • [文献書誌] 伊勢村 護: "レセプタ-・細胞外マトリックスのバイオサイエンスとバイオテクノロジ-" アイピ-シ-出版部, 11 (1989)

  • [文献書誌] 伊勢村 護: "新生化学実験講座第3巻糖質II" 東京化学同人,

  • [文献書誌] 伊勢村 護: "生物薬科学実験講座Iー4糖質III巻" 東京化学同人,

  • [文献書誌] 伊勢村 護: "新生化学実験講座第3巻糖質I糖タンパク質(上)" 東京化学同人, 5 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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