1.多形核白血球におけるPAF産生に及ぼすリゾPAFの影響。 ヒト末梢血より得た多形核白血球に、種々の濃度のリゾPAFを加えたところ、加えたリゾPAFの濃度に応じてPAFが産生されてくることが判明した。リゾPAFによるPAF産生の誘導は、培地中にウシ血清アルブミン(BSA)を加えない場合に、特に顕著に観察された。一方、リゾPAFだけでなく、他のエ-テル型リゾリン脂質、例えば、1ーアルケニルGPEを加えたような場合にもPAF産生が起きていることが確認された。この時には、細胞内のリゾPAF量も大きく増大していた。一方、アシル型のリゾリン脂質を加えた場合には、PAF産生は全く認められなかった。リゾPAFや1ーアルケニルGPEによるPAF産生の誘導に際しては、PAF合成酵素であるアセチルトランスフェラ-ゼの活性上昇は特にみられないことから、PAF産生の直接の基質であるリゾPAFの供給の増大が、そのままPAF産生につながったものと考えられた。 2.加温マクロファ-ジにおけるアセチルトランスフェラ-ゼの変動。 37℃にマクロファ-ジや多形核白血球を暖めたところ、PAF合成酵素活性が大きく、一過的に上昇することが分った。しかし、この時にはPAFは全く産生していないことが判明した。 3.PAF産生に及ぼす外因性ホスホリパ-ゼA_2の影響。 ヒト多形核白血球などに、ホスホリパ-ゼA_2を低濃度加え、ザイモザン等で刺激すると、PAF産生が大きく増大していた。この時、細胞内のリゾPAFはやはり著しく増加していた。 以上の結果は、PAF産生を開始、あるいは調節する上での基質の1つ、リゾPAFの供給の重要性を強く示唆するものである。
|