研究概要 |
我々は既にDrosophilaのアセチルコリン合成酵素部分cDNA(翻訳配列:2.2Kbp、3.-非翻訳配列:0.3Kbp)を単離しているが、Northern analysisから本酵素mRNAのサイズは約4.7Kbpと推定され、また、単離されたcDNAには開始コドンが見出されなかった。従って、full-length cDNAを単離する目的で、部分cDNAをプロ-ブとして、Drosophila頭部のcDNAライブラリ-をスクリ-ニングし、いくつかのクロ-ンを得た。そのうち、最長のサイズのcDNA(約3.6Kbp)について塩基配列を決定したところ、このcDNAはポリ(A)構造を含む完全な3'-非翻訳配列(約1.4Kbp)を含むことが明らかになったが、翻訳配列については、先に単離したcDNAとほとんど同一であり、開始コドンは見出されなかった。従って、さらに、5'-末端側の構造を明らかにする目的で、単離されたcDNAの5'末端配列に対応するオリゴヌクレオチドをプロ-ブとしてcDNAライブラリ-を再スクリ-ニングし、約3.8KbpのcDNAを単離した。そのcDNAの塩基配列を決定したところ、すでに単離されたcDNAより200bp程5'-末端側に長いcDNAであることが明らかになった。その塩基配列から、翻訳配列と同じreacling frame内に翻訳開始コドン(AUG)がないのにかかわらず、5'-末端近くに終止コドンが見出されることが明らかになった。この結果と、最近McCamanらによって報告された結果(Molecular Brain Res,3,107-114(1988))と考えあわせると、Drosophilaのアセチルコリン合成酵素はAUG以外のコドンを開始コドンとしている可能性が高いと考えられた。また、5'非翻訳配列が約1.0Kbpと非常に長く、このことも興味ある知見と考えられた。
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