• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1990 年度 実績報告書

嫌気微生物の電子キャリア-系とエネルギ-代謝

研究課題

研究課題/領域番号 01580187
研究機関静岡大学

研究代表者

八木 達彦  静岡大学, 教育学部, 教授 (00021882)

キーワード硫酸還元菌 / 電子キャリア-タンパク / 高分子量シトクロム / ヘムタンパク / ルブレドキシン / アミノ酸配列 / 嫌気的ヘム合成 / シトクロムcー553
研究概要

先年度に引続きDesulfovibrio vulgaris Miyazakiの各種電子キャリア-タンパクのうち,特に高分子量シトクロム(hmc)を中心に構造と酸化還元特性について詳しく研究し,以下の成果を得た。
1.精製法の改良:従来hmc精製途上の変性と分解のため精製収率が著しく低かったが,原因はセファクリルSー200カラムクロマト以前の標品が特に共存プロテア-ゼによる低分子化を受けやすいことをつきとめ,これを避けて高純度hmcを高収率で精製できるようにした。
2.アミノ酸組成とヘム含量:定量的アミノ酸分析とスペクトル分析より分子量67000当り12ヘムを含むシングルペプチドである。
3.スペクトル特性:シトクロムc_3と類似し,純度インデクス(還元型A_<553>/A_<280>)は2.6,メチオニンリガンド特有の695nmピ-クは存在しない。Hmcの完全還元ではソレ-領域の差スペクトルは420nmにピ-クがくるが部分還元では424nmと434nmにダブルピ-クが出現した。ヘムの部分還元によるコンフォメ-ション変化による配位状態の変化か,還元途上のハイスピン型出現の可能性等が考えられる。
4.酸化還元特性:Hmcの12ヘムのうち1個はアスコルビン酸で還元される高電位ヘムである。他のヘムはhmcーFMNの酸化還元平衡混合物のネルンストプロットよりE^<01>=ー187mV,見かけのn=0.48と測定した。これをもとに,個々のヘムの標準還元電位を計算した。1個の高電位ヘムはHisーHis配位以外の軸リガンドをもつと想定した。Hmcの12ヘムの標準還元電位はこの菌の他の電子キャリア-タンパクの標準電位とこの菌のエネルギ-代謝反応の標準電位をカバ-する。Hmcが電子供与系と硫酸還元系を繋ぐ役割をもつ可能性を示す。
5.部分配列:Hildenborough株hmcとの相同性が認められたが,シトクロムc,c_3を含め他のタンパクとの近縁性は認められなかった.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 田坂 千草: "Desulfovibrio vulgaris Miyazakiに存在する高分子型シトクロムc_3の構造と物性" 第41回 タンパク質構造討論会要旨集. 41. 49-52 (1990)

  • [文献書誌] 八木 達彦: "硫酸還元菌Desulfovibrio vulgaris Miyazaki株の膜結合型ヒドロゲナ-ゼの改良精製法" 豊田研究報告. 43. 27-31 (1990)

  • [文献書誌] A.Nakagawa: "Sーclass cytochromes c have a variety of folding patterns:Structure of cytochrome cー553 from Desulfovibrio vulgaris determined by the multiーwavelength anomalous dispersion method" The Journal of Biochemistry. 108. 701-703 (1990)

  • [文献書誌] C.Tasaka: "Partial sequences of highーmolecularーweight cytochrome c isolated from Desulfovibrio vulgaris Miyazaki" Protein Sequences & Data Analysis. (1991)

  • [文献書誌] 八木 達彦: "Desulfovibrio vulgaris Miyazakiの可溶性ヒドロゲナ-ゼの精製と物性" 豊田研究報告. 44. (1991)

  • [文献書誌] T.Yagi: "Microbiology and Biochemistry of Strict Anaerobes Involved in Interspecies Hydrogen Transfer (J.ーP.Be^^´laich,M.Bruschi,and J.ーL.Garcia,Eds.),Part 2,Section 2ー1.Microbiology Electron carrier proteins in Desulfovibrio vulgaris Miyazaki(pp.237ー248)" Plenum Publishing Corporation,New York, 543 (1990)

URL: 

公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi