研究概要 |
1.ヒラメ成長ホルモンの生理活性の解析 ヒラメ成長ホルモンはこれまでに知られている成長ホルモン分子の中で最も分子量が小さく,成長ホルモン分子の特異性決定機構を解析するための良いモデル分子である。大腸菌に大量発現させ,精製したヒラメ成長ホルモンの生理活性を,同じく大腸菌に発現させて得たブリ成長ホルモンの生理活性と比較した。生理活性はニジマスに各成長ホルモンを腹腔内投与した時の成長促進効果を指標として測定した。その結果,成長ホルモンを投与しなかったニジマス群に比べ,ヒラメ及びブリ成長ホルモンを投与したニジマス群はともに2.5倍の体重増加率が認められた。ヒラメ成長ホルモン分子はブリ及び他の成長ホルモン分子のカルボキシ末端側の13〜14アミノ酸残基に相当する領域が欠けているが,ブリ成長ホルモンと同等の生理活性を有することから,ヒラメ成長ホルモン分子に欠けている領域は成長ホルモン作用に必須でないことが判明した。 2.ウシ胎盤のプロラクチン様ホルモンcDNAの単離と構造解析 ウシ胎盤cDNAライブラリ-より4種類のプロラクチン様ホルモンのcDNAクロ-ン,bPLPーI,bPLPーII,6PLPーIII,bPLPーIVを単離することに成功した。4種のcDNAの全ヌクレオチド配列を決定したところ,bPLPーIはウシ胎盤性ラクトゲンの一種を,bPLPーII,bPLPーIII,bPLPーIVは新規のプロラクチン様ホルモン蛋白質をコ-ドしていた。このうちbPLPーIVは,他のすべての成長ホルモン・プロラクチンファミリ-蛋白質に保存されているカルボキシ末端付近の2つのシステイン残基を有していなかった。したがって、スルボキシ末端付近の2つのシステイン残基はプロラクチン様のホルモン作用には必須でないことが示唆された。
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