研究概要 |
1.Hrab2遺伝子は4個のGTP結合領域をもつ25kDaのGTP結合蛋白質をcodeしている. 2.マウス個体におけるHrab2の発現は悩で最も高く,ついで腎,睾丸で高かったが,いずれの臓器でも発現していた. 3.各種のヒト培養細胞で3.5,2.4および1.4kbの3種のHrab2 RNAが認められ,最も多量に転写されているRNA分子種は細胞により異なっていた。これらのHrab2転写体は3'非翻訳領域の長さと構造に違いが認められ,転写終結またはpoly A付加部位の違いによって分子サイズの異なるHrab2転写体が生成されるものと考えられた. 4.細胞内Hrab2 RNAは、Actinimycin D存在下において,細胞の種類や転写体分子サイズの違いに関係なく,βーactin RNAと同定度に安定であった.また,血清添加刺激によって,Hrab2の発現レベルが低下した.以上の結果よりHrab2は,いわゆる"houseーkeeping gene"の一種であることが示唆された. 5.ヒトhrab2遺伝子は第8染色体上に座位することを明らかにした. 6.Hrab2のcDNAの大腸菌で発現させ,約25kDaのHrab2蛋白質に対する特異的ウサギ抗血清を作製した.1次抗体としてアフィニティ精製した本抗体を用いてヒト腎新鮮凍結切片に対して組織抗体染色を行ったところ,糸球体および尿細管の特定の細胞の核周囲に粒状の染色像が得られた.現在,Hrab2蛋白質の細胞内局在について,さらに細胞内装置の特定や神経系組織についての検討を進めている.
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